2009年10月26日 のアーカイブ

常識を疑え、自らの幸せを勝ち取るために。

2009年10月26日 月曜日

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おすすめ度:★★★★★

人間が生きる上で必要な「栄養」の知識が、きっちりとした解説とともに書かれている本。
日本人は全員が読むべき。

<超概要>
 低血糖症の症状は鬱病とほぼ同じであり、本当は低血糖症なのに鬱病と判断されてしまうケースが非常に多い。特に現代は、糖質の過剰摂取を原因とする栄養バランスの崩れが多く見られる。
 低血糖症であれば食事療法が非常に有効なため、本書では食事の取り方について説明している。
 まず、タンパク質を多く摂取することが大事。タンパク質は身体をつくるばかりでなく、ダイエットや感情の安定など、健康的な生活への寄与も多大である。
 また、低GI食品を多くとることで、糖質(炭水化物)の過剰摂取を防ぐことができる。とくに、毎日の食事では、野菜→肉→ごはん、の「GIが低い順」に食べることで、血糖値の急激な上昇を防ぐ=おなかが空きにくくなる。
 頭の疲れには、甘いものは確かに有効である。しかし、これは栄養ドリンクのようなものであり、継続した摂取によりタンパク質を取りにくくなるほうが問題。
 むろん、栄養のバランスをきちんと考えて取ることが大切だが、本書では「食事摂取基準」の考え方についても疑問を呈している。

<感想>
 常識的な「精神的なものなのだから、精神をなんとかしよう」という直感から離れて、「精神は脳、すなわち、タンパク質から出来ているのだから、栄養を何とかすれば精神も上向く」という鋭い考察が元となっている。
 個別ケースにおいて大きな成果を上げたことが書かれているが、本書でも断っているとおり、日本においては「反証可能なデータは揃っていない」すなわち別の説が出てきたらひっくり返される可能性は常に残されている程度の「新しい説」である。

 考え方のポイントは、「常識的な考えを疑う」こと、「原点に立ち返って考える」ことの2点。鬱病(に見えるもの)を栄養学で改善したこの視点は、精神という「上っ面の常識」を捨てて、脳の活動という「見えない原点」に立ち返ることが大切。

 もう1点、科学に従事する者として見逃せないのが、「いったん立ち上がるが、しばらく継続したら元に戻る」というデータ。
 この手のデータは、観測時間をしっかりとらないと読み間違うことがグラフの形から明白であるが、それに気づかず「短すぎる期間だけ切り取って考察する」、という過ちをどうしてもやってしまう。
 人体をはじめとする複雑なプロセス制御系の考察が難しいのは、長期的にはバランスを取る力が上手く働くことも、考察を難しくする一因である(むろん、正しい考察の結果システムが平衡する美学を感じ取った瞬間の喜びは、他に代え難いのだが)。

 手元に積んである新書の一冊に、福岡「世界は分けてもわからない」があるが、健康という実例を得たところで、今から読むのが楽しみである。

<検証>
 前回の書評で、「やれるかどうか」が問題とあったので、今回は書評の前に「実際にやってみた」結果を伝える。と言っても、今日1日だけの結果であるが。

実験:
 3食とも、野菜を最初に食べる。ご飯は最後に食べる。

朝食:オニオンサラダ→ミートボール→味噌汁→ごはん(少なめ)→フルーツ入りヨーグルト
昼食:コーンサラダ→鮭のムニエル→十穀米→ミネストローネ
夕食:ほうれん草のおひたし→鮭を焼いたやつ→里芋っぽいやつ→味噌汁(ごはん抜き)
# 3食とも定食なので、数品忘れてるかも。

結果:
 世の中ではスローフードが盛んに叫ばれているが、野菜を最初に食べるだけで自然とゆっくり食べるようになった。
 また、満腹感が長時間継続し、「こんなに早い時間なのに、もうおなかが空いている」ということがなくなった。普段であれば、お茶をがぶ飲みしたり、おやつに海苔のはさみ焼きとかつまんだりする(そしてトイレの回数が増える)のだが、今日はそんなこともなく快適に過ごすことが出来た。
 あと、朝ご飯の量多いです、寮長……

考察:
 身体への影響はともかく、野菜から食べる食べ方は十二分に「あり」と判断。
 本日は量少なめだった昼食や、ご飯抜いた夕食で量が丁度良く、ごはんをつまんだ朝はおなかがふくれてしまったのは食べ過ぎを反省する。
 何も我慢することなく、食べる順番を改善するだけでこれだけの効果があるのだから、ぜひ続けていきたい。