堀江被告有罪判決

懲役2年6ヶ月、執行猶予なし。
IT業界のスピードを考えると死刑に等しい判決です。

さて、この問題について、ポイントを整理しましょう。

1:堀江被告は本当にこの問題の犯罪性を認識していたのか?
 代表取締役時代の忙しさを考えると、法律担当に嘘つかれたらフォローできません。経営者が単独でフォローできるほど法律は簡単ではありません。
 法律をフォローしていない身としては、株価分割のどこが悪いのかがさっぱり分かりませんし、もっと巨大な額の粉飾決済やったところがトップ辞任くらいで済んでるのに、なぜ有罪かと言われても私の如き素人では説明が付きません。

2:宮内被告の証言はどこまで信用していいの?
 この問題の黒幕はどうみても宮内被告なわけですが、上記にもあるとおり、宮内被告が嘘を付いていたら堀江被告はどうみてもアウトである、といえます。被告のメール内容が、法律などのリスクを正しく書いていたとしても、それがわかりやすくなければ堀江被告には伝わらないでしょう。

3:それでも堀江被告の有罪は免れない ――経営者は会社への責任をどこまでとるべきか?
 さて、ここからが本題です。すべての証言が堀江被告サイドの言うとおりになったとして、それでも堀江被告は有罪になります。その結果がどれだけか、というのを注目していたのですが、この点はだいぶ霞んでしまった印象を受けました。
 内部統制・J-SOX法などが騒がれている中で、経営者は、会社の中で起きていること(事業内容・リスク・コスト・利益)を、全て知らなければなりません。で、今回の裁判で一番注目していたのは、ライブドアが粉飾決済・株価分割などを行った事実に対して、堀江被告が経営者としてどれだけの罪を被る必要があったのか、という点です。(1)犯罪と知っていた(2)やったことは知っているが、犯罪として認識していなかった(3)やったことを知らなかった、のうち、判決は(1)を支持していますが、たとえ(3)であっても、経営者は罰せられます。それが経営責任ってもんです。

何回かライブドア問題を取り上げているうちに、このblogでも言ってることは二転三転していますが、それだけ社会の仕組みとトレンドを学んできているということでひとつご理解をいただきたく思います。

さて、これからの注目点:黒幕さんの量刑はどうなるのか。
 宮内被告の判決が3/22に下されるらしいとのことで、どれくらいの量刑になるのか、注目しています。ポイントは以下の5点。
 ・実行犯であること
 ・明らかに違法行為であると分かってやっていたこと
 ・不正な利益の一部を生活費に流用していたこと
 ・当時ライブドア取締役であったこと
 ・強く反省をしていること
ネガティブな条件が3つ、堀江被告と同等の条件が1つ、ポジティブな条件が1つ。この条件と堀江被告への判決を見て、執行猶予付きは許されないんじゃないかなぁ、と思うのが素人の考え方ですが果たして。

たぶん、法律の専門家が見たら嘲笑に値するような考察なんでしょう、とは思いつつ。

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コメント / トラックバック3件

  1. より:

    六法で調べると、今回は
    証券取引法 第197条違反(不実の書類、公告・不正取引行為等
    懲役5年以下、罰金500万円以下、又はこれらの併科
    に当たるのかな?
    (現在は改正され、上限が10年以下になっておりまs
    (法律は特別なことが無い限り、その当時の法律になるんで
    少々自信無いがorz

    1に関して
    株価分割について、自分も専門家じゃないんで間違いもあると思うけど
    〜『1株1000円』のケース〜
    「1株→100株」に株式分割すると
    1株の価格は100分の1に減る
    上記場合は「1株10円」にまで下がると言うことだね
    株保有者は100株持っていると言うことなので損は無い
    そして、市場はというと
    これから成長する可能性が高い、という基準の1つで株価分割を挙げる
    つまりは、その株が急に買われ出して株価が急上昇
    問題は、自社株がその時に売られたとしたらどうだろう?
    (株価分割→高騰→自社株売却→価格低下→自社株で買いあさり→以下繰り返し)
    という方法も十分に考えられるわけで
    東証も5倍を超える分割はしないように言ってまs
    ちなみに、これに関しては現状違法ではないんで
    (対処する法令が無い、と言うのが正解

    今回の判決は株式分割ではなく、TOBの方の影響が強いと思われ
    黒字であることをアピールしてフジとやりあったんだし
    結果的に失敗したが多くの利益を貰ったしね
    TOBに関して、経営者の判断が必要
    通すにしても相手はフジ
    自社資産も相当考慮に入れないと太刀打ちできないだろうしね
    この時点で少なくとも赤字・黒字の数値くらいは把握していたであろう
    簡単に
    「敵対的TOBするのに経営者の判断は不必要なのか?」
    不必要なら無罪の可能性もあるが、普通は…

    2について
    基本的に証言だけで有罪にするのは危険性が高い
    (「鹿児島県議選を巡る公選法違反事件」があったばかりだしね
    よって、証言よりは証拠が必要になる
    証言については罪の程度に関して動く程度だと自分は考えている
    単純に「論より証拠」ってことd

    3について
    無罪になるのであれば、刑事的な罰はないだろうけど
    どちらにしても社会的な罰はまぬがれない
    太字の部分は何を指しているのか分からなかった為、意見はひかえますorz
    (刑事罰か社会罰か

    黒幕の量刑について
    ・実行犯であること → 主犯
    ・明らかに違法行為であると分かってやっていたこと → 故意
    ・不正な利益の一部を生活費に流用していたこと → 横領の可能性?
    ・当時ライブドア取締役であったこと
    ・強く反省をしていること
    気になるのが生活費に当てたという横領の可能性
    これがどう響くか気になるところ

    横領認定→懲役5年
    横領未認定→懲役2年6ヶ月+罰金
    かなぁ、と推測

    最後に
    嘲笑するような人は成熟していない人ですy
    と思ってみt

  2. 菅野たくみ より:

    ご意見感謝。

    1)なるほど、株券分割には成長宣言の意味があると……そりゃ証券の専門家じゃないとわかりません。
    その意味を法的に肯定するか否か、が法律の制定の可否にかかわっている、と。法律みたいな重いものにこの手の意味解釈は怖いなぁ……抜け道がすぐできそうだし。

    2)判決文をみると、証拠としてメールが上げられている。けど、しょせんメールサーバーに送られた証拠でしかない上に、IT企業であるならば偽装はそれほど難しくない。偽装をさせないためにメールアーカイブソリューションと呼ばれる、書き込みが1度しかできないストレージ装置をEMCとか日立が販売していたりするわけで、メールの証拠能力は大きくない企業の内部メールである限り、疑わしく見るべき。
    (逆に、IT統制の整っている大企業とか、大手プロバイダ経由とかであれば、下手な物証より証拠能力は高いと思って良い)

    3)言っていたのは刑事罰。会社が行った犯罪の責任をとるのは経営者である、との意味。

    3)に関して追加で情報を仕入れた際、不思議だったのが日興コーディアル証券の判決。ライブドアの10倍、しかも真っ黒な偽装をやっていたにもかかわらず、証券が2ヶ月監理ポストに置かれてトップ交代のみ(刑事罰なし)、という有様。
    司法がひねくれてる、という批判も多くある中で、果たして控訴の審議がどうなるか、楽しみではあります。

    あと、黒幕の「反省をしている」が、今回全面的に検察についたとか、事件の全容解明に動いた(仮)とか、そういう「強い反省」であることについて、量刑にどれだけ響くのかが気になるところです。情状酌量なんて、法律家じゃないと分からないからなぁ……

  3. より:

    1)
    立法機関を癌呆、企業をBOTを置くと意外とはまってしまう罠(おぃ
    お隣の国のようにすればこういうことは無いんだろうけどね
    (それはそれで日常生活に大問題だが
    抜け道に関しては悪徳商法が嫌な意味で最先端
    品目指定されたら、さっそくそれ以外の品物に変更してるし
    相談件数1万件以上なのに、摘発は60件らしぃ(2006年度統計
    法律があえて細部指定しないのは、抜け道を狭くする為なんだよね
    それを市民団体がわかtt(問題違うので略

    2)
    たくみさんの言うとおり、企業内でのメールに関しての信憑性はあるかとおもう
    しかし、人の思想と違いすぐに変更は出来ない
    (思想は思うだけで変わるが、メールはそれに行動を付与しないと変わらない
    押収されたメールは変えられないだろうが、証言者の思想は変わる可能性がある
    確かに証拠としてはやや弱いかもしれないが、証言よりは信憑性があるだろう
    もとから偽装するなら自分に都合のいいように変えるものだと思うけど、
    自分に都合の悪いように偽装するのは果たして意味があるのか
    (誰かを貶める為にそういうことはあるかもしれないけどね
    (それは邪推しすぎな悪寒

    3)
    刑事罰ではどうなんだろうね
    これに関して自分は正直なところ、必ずしも取る必要はないと自分は考える
    (今回のように関わっていたり、共犯は論外だけどね
    会社が行った犯罪の責任は一概に経営者がとるものだろうか
    社員が犯罪を犯したとして、その社員が逮捕される
    その時点で会社の信用問題になり、時には経営問題にすらなるだろう
    会社の存亡という社会的制裁が経営者にいやおう無しに下される
    (最近では不二家の賞味期限偽装が分かりやすいかも
    最悪、破産というのもありえないことではない
    そのうえ過去にそういう会社の管理職だったという、悪しきレッテルがつきまとう
    という社会的制裁が経営者が犯罪に関わろうが関係なく下される
    それに不注意で偽装を見抜けなかったとしても、生命に関わらなければ取り戻しは出来る
    (耐震偽装は生命に関わるので問題になった
    取り戻せるかどうかは、それこそ経営者の手腕にかかっているが
    このような結構厳しい社会的制裁があるから、関係していなければ社会的制裁だけで
    と自分は考えている
    (刑事罰を科したとしても、それで会社が信用されるわけでないし
    (こういう表現もあれだけど、世論の自己満足という感が自分には強くてね

    3)+α
    日興コーディアル証券に関しては、現在自分なりに調べて考えている最中なんで
    まだどれが悪くてどれがギリギリなのか現状で判断できませn
    意外と参考になる資料がないんだよなぁ…
    分かりきっていないので、今回判決との比較も保留と言うことでorz

    4)
    正直に言うと、「情状酌量」は裁判官の考えに任せられている
    同一事件でも情状酌量を主張する人もいれば、しない人だっている
    (顕著なのが未成年(20歳未満)の裁判
    自分も判決と違って、情状酌量の有無を感じることだって多いし
    情状酌量範囲は「半年〜3年」くらいかな
    長い刑期ほど情状酌量期間は多い

    自分は「懲役2年6ヶ月+罰金」にした根拠を示すのなら(有罪と言う前提上
    ・初犯でいきなり最高刑(5年)にするのは無理(次に同じ犯罪を起こされてもそれ以上の罰がない
    ・検察の捜査に協力した
    ・自白と証拠の整合性が伺える
    ・他裁判(堀江氏の裁判)で証言をした
    ・上記3つにより反省しているということが思われる
    ・従犯の経営者(堀江氏)よりも刑が少ないのはどうか
    ・ほぼ共犯に近いのに刑があまりに離れているのはどうか
    と考えた結果、罰金を追加したわけで
    横領を追加するなら刑法第45条(併合罪)
    これに上記の情状酌量を含めて「懲役5年」が妥当かと
    (付記:刑法第253条「業務上横領罪」10年以下の懲役

    というのでどうだろう?

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