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大阪弾丸ライナー

2008年9月9日 火曜日

無茶しやがって、俺。

8/29 金曜日
 こみトレに行きたくても、仕事で時間がとれないというジレンマを抱えていた私に、8/30の休日出勤申請時、上長から次のような指示があった。

 「適当なところで代休を取るように。健康管理には気を遣ってください」

 その言葉を、私は次のように解釈した。

 「年休使って大阪行ってきて良いですよ。ただし、疲れないでね」

 もちろん、9/3完了予定の仕事が終わらなかったとか、9/6に別の用事があるとか、そんなもんガン無視で。

9/6 土曜日

 この日の午後、私は関東地方某所で、祖父の納骨式に参加していた。(参考:5月日記「葬儀」
 納骨式が終わったところで軽くお茶をのみ、終わったところで実家に帰還。
 当初予定よりスケジュールが早く進んでいたので、実家のPCの様子を少し見たところで、19:00、大阪へ向けて出発。

 新幹線の中で食べる駅弁(釜めし900円)がやけにおいしかった。指定席をとれなかった憤りを「グリーン車席1個取得」ではらしたせいもあるに違いなかったがw

 大阪への到着は23:00を少し過ぎたくらい。宿泊したホテルは「ワシントンホテル」という場所。ちょいと値段が張ったのが気にかかるところ(ネット接続自由のサービスは利用したが、なくても何とかなるだけの準備はしていた)だが、一般的なビジネスホテルではあったのでまあよし。

9/7 日曜日

 9時00分、ホテルを出発。同45分、今回の目的である、こみトレに突撃開始。
 インテックス大阪の構内に広い中庭あり、他イベントに比べて列形成しやすいイメージがあった。
 規模自体はサンクリの半分程度であろうか、多くもなく少なくもないくらいの人数が並んでいるところ、中庭の6〜7割程度が埋まっていたイメージ。私は半分より少し後ろくらい。サンクリだと入り口前スペースを少し使う程度か、と考えながらカタログの直前チェックを実施する。

 11時00分、開会。イベントが拍手で始まるのは、大変気持ちの良いことである。

 第1手:サークル「よみ言」……新刊5部確保。言うまでもないが、某チャットのメンバーから代購の依頼を受けている。既刊おとボク本もあれば確保予定だったが、出てくる様子が全く見えず。
 第2手:サークル「祭屋」……グッズ(名刺入れ)を確認したが、お財布が心許ないためスルー。次のサンクリorボクみてで購入予定、と頭の中で決める。
 第3手:サークル「天城類」……想定外のサークル。新刊はインデックス本だったが、このジャンル興味なし(Wizブレだったらなぁ……)。既刊おとボク本を確保しようと見たところ、在庫希少の様子だったので1部ずつの購入にこらえる。
 第4手:サークル「箱入りねこ」……既刊5部確保。新刊なかった様子。

 ここまで確定したところで大手含めてぐるぐる周り(マリみてサークルは、東京とかぶるメンバーほとんどない印象だった)、14時前に撤退。

 せっかくの大阪ということで、チャットメンバーの提案を受けて、その後海遊館に行ってみた。
 大きな水槽をいくつもの階層からぐるりと見渡す形の、非常におもしろいタイプの水族館であったが、人が多い。家族連れとカップルが多すぎて、ゆっくり見物もできない。
 家族連れは、子供の視線に併せて親がしゃがむので、まだいいのだが、問題はカップル。立ったまま水槽に張り付く(水槽の前は子供と車いす優先)んで、物理的に邪魔で仕方がない。
 この状況に辟易しながら、それでも楽しめる水槽は多く(人気のない魚とかでも、きれいなやつは多い)、ぼーっと楽しみながら進んでいたら何かに蹴躓く。……小さな女の子でした。当然泣かせちゃいました。本当にごめんなさい orz

 とまあ、被害者になったり加害者になったり、さんざんなめにあいつつも海遊館を見終わったところで、別のメンバーの提案を受けて自由軒へ。名物の「ハイカラセット」(だったか?)をいただき、満足する。個人的に、カレーライス+生卵+ウスターソース、というのはすごく新しい味だった。

 疲れがたまっていたので、ホテルに戻ってまったり。
 一休み終わってから洗濯物を洗濯機にかけ、駅の書店に行ってみると、存外にエロい本ががんばっている印象。いいのかそれで?
 軽くネットをしたところで日付が変わり、おやすみなさい。

9/8 月曜日

 チェックアウト時間をめいっぱい使って、朝ゆっくりしていってね!
 もちろん、チェックアウト後もホテルのレストランで朝食ゆっくりしていってね!

 11時ころに、大阪は日本橋に到着。
 目的は、電器店の軒先チェックとオタショップの陳列状況確認。
 裏手の「オタロード」は前回案内された経験から新しい香りがしなかったので、初手にボークスへ突撃。商品自体は東京とそれほど変わらない印象を受けたが、エロいものが目を引くように陳列が調整されている印象を受ける。
 次に行ってみたのは上新電機(J&P)。昔地元にあったJ&Pの陳列状況から、商品への期待はそれほどしていなかったが、期待に反して、なかなかがんばっている印象を受ける。ここでもエロいやつが前面に押し出されていた印象があった。
 その後、歩きながら電器店の軒先を覗き、ヲタ店には足を踏み入れる。
 アダルトショップが目につくようになったので、コスプレ関係(もちろん一般的なエロコスではなく、アニメのコス衣装に限定)を視点の中心に切り替えて日本橋見学を続行。コスプレ関係だと、K−Booksの他、「信長書店」なる書店があり、そこの品揃えがかなりよかった印象。ただし、今回の観光では、おとボク制服はおろか、マリみて制服を見かけることもなかった。コルダとかブリーチはあったんだけどなぁ……。

 一周まわり終わったところで、やることもなくなったので新大阪へ帰る……が、時間が余ってるのにそのまま戻るのはもったいない! と思い立ち、地下道でなんばまで歩き、JR大阪環状線で半周ぐるりの旅へ(←乗り換え2回あるので、各自脳内保管のこと)。地下鉄で使えなかったSuicaを振りかざし、20分強、移り変わる景色をながめながら、ゆっくりしていってね!

 新幹線の中でも、帰りの駅弁をいただきながらweblog執筆。できるだけ疲れないため、贅沢にグリーン車。マジ快適。

 東京に帰ったところで、代講分を撒きながら、多岐にわたっておとボクトークを繰り広げる。気がつくと23時を過ぎており、帰宅するぎりぎりの時間。
 結局明日に疲れを残すんじゃねーか、と思いつつ帰宅。ゆっくりした結果がこれだよ!

P.S. リーセリファさんへ

コメントありがとうございます。
せっかく時間をかけていただいたコメントですので、グリーン車の中で時間をかけて考えてみました。

(さらに…)

3:「可愛い」は、女の子の特権じゃない ―― to be pretty is justice, even if the one is a boy or a girl

2008年4月22日 火曜日

 前章にて「『おとボク』が異性愛中心主義を助長するものでないこと」の証明は終わったように見えるが、私は前章の記述だけで、この議論を終わらせるつもりはない。前章の視点からは、別の作品世界、生物学/社会学的視点、という二つの視点が欠けている。本章では前者を、次章では後者の視点から考えてみたい。

 前章まで、マリみてが百合ではない、おとボクの瑞穂ちゃんに性別は関係ない、として、マリみてとおとボクにのみ焦点を当てて考察を行った。本章では、一度おとボクを離れ、最近ブームになりつつある「女装少年」について考えてみたい。
 二次元の世界では、そもそも性自認の存在そのものを疑う風潮が出てきている。その証拠に、2ちゃんねるなどのコミュニティでしばしば言われる言葉がある。

こんなに可愛い子が、女の子の筈がない!

この言葉が何を意味するのか、いくつかの実例をサンプリングして考えていく。
 なお、本章では物語の核心にふれる事柄やネタバレなどが多いため注意する。

3.1 女の子は知っている。可愛い男の娘の魅力を。
 女装した少年は、少年としてのシンプルな性格と少女としての愛らしさを備えることで、男女それぞれが持ちうる「かわいい」魅力を並立することが可能となる。
 このとき、女装者に対し、一般的な「オカマ」のイメージ(アニメや漫画などで、それなりに年齢の高い男性でありながら似合わない女装を行い、またヘテロセクシュアルである主人公を同性愛の対象とみなす一部キャラクター; 要は「空気の読めない」人間のたぐいであり、実は現実の異性装・ホモセクシュアル・GID等とは一線を画する)を当てはめてしまうと、可愛い・可愛くないの議論のテーブルにあがる前に先入観によって排除されることとなる。
 しかし、この保守的な先入観を取り払うことで公平な視点を確保することでキャラクターの存在について正しく議論することが可能となり、新しいキャラクターの魅力を発見することにつながる。
 なお、タイトルの「女の子」とは、保守的な先入観を取り払った存在を象徴的に指す。先入観を持つのは比較的男性に多く、女性に少ない傾向があるためである(言うまでもないが、すべての男性および女性に当てはまるわけではない)。

3.1.1 プリンセス・プリンセス ――河野亨、四方谷裕史郎、豊実琴
 主人公「河野亨」は、転校して早々、生徒会業務として女装させられる。この生徒会業務は「姫」と呼ばれ、一般の生徒にとっての崇拝の対象として設定されるものである。
 そして、「姫」の働き次第で生徒のモチベーションが変化し、それぞれの部活動が残す成績に大きな影響があることは周知の事実である、本作品の特徴はまさにこの点にある。そして、姫の功績はやりがいとなり、亨と同じ姫である四方谷裕史郎、豊実琴の二人との友情を育むきっかけともなる。
 理事会すらもがこの活動を承認しており、好意的なものとしてとらえている(アニメの場合。原作は未確認)ことも特徴的。
 本作品は女性向けとして製作されたものではあるが、アニメとなったことで男女を問わず知られることとなった。以降、内容についてはアニメ版について語る。

 本作品は、前述の「姫」システム、すなわち「選ばれた可愛い人間による女装」が学校の伝統として定着していることから、女装に対するネガティブなイメージがそもそも存在しえない点がスタートラインとなっている。姫としての業務を通じて、河野亨・四方谷裕史郎の友情を描く物語の中で、狂言回しの役割を担うのが豊実琴である。
 作品世界の中で唯一、女装に対するネガティブなイメージを振りかざす彼もまた姫のひとりであり、この特性ゆえ姫の業務を始めると、見た目、性格ともにルイズ・フランソワーズ(ゼロの使い魔)同然のツンデレ美少女ぶりを見せる(もちろん、本人は姫の業務を嫌っているだけである)。
 もちろん、亨・裕史郎の両名もそれぞれの「姫」としての魅力を存分に発揮し、生徒たちを魅了していることは言うまでもない。

3.1.2 ニコニコ動画 ――Vocaloid KAIKO
 さて、いきなりではあるが、これは作品ではない。
 ニコニコ動画はニワンゴの動画投稿サービスであり、VocaloidはYAMAHAの商標である。また、KAIKOはKAITOの故意の誤植であり、KAITOはクリプトン・フューチャー・メディアの発売する、男声ボーカル・コーラス用のDTMソフトである。要は、「初音ミク」の男声版であると理解していただければ差し支えない。
 初音ミク人気の爆発とともに、初音ミクのシリーズである「MEIKO」「KAITO」らが見直されつつある中、「鏡音リン&レン」の発売により、ニコニコ動画および周辺サイトでは、Vocaloidシリーズを兄弟とみる二次創作の作品が相次いだ。話題は少しそれるが、それぞれのソフトウェアの特徴として、MEIKOはシンガーソングライター・拝郷メイコ氏に由来する味のある高音を特徴とし、KAITOは歌手・風雅なおと氏の持つ表現の広さを特徴とする。初音ミクは声優・藤田咲氏のアニメ声と操作性の高さを、鏡音リン&レンは声優・下田麻美氏の歌に特徴的な演歌調・舌足らずな表現による幼さを特徴とする。(このあたりは異論も大いにあると思われるが、私個人の感想ということでご容赦いただきたい)
 この潮流の中で、低音に強いはずであるKAITOの高音の響きに注目しているユーザーが数名いた。そのうちの一人が、当時初音ミクの3Dに用いられていた「らぶデス2」を用いて、KAITOに如月千早(THE iDOLM@ASTER)のコスプレをさせ「青い鳥」を歌わせた動画が、KAITOの女装である「KAIKO」の火付け役となった。KAIKOの名称自体も、「解雇」とのダジャレとなっている(偶然にも、同時期に別のユーザーにより作成された、「みっくみくにしてあげる」の替え歌である「解雇解雇にしてあげる」が人気を呼んでいた)。
 それ以来、KAITOの高音を「KAIKO」とし、KAITOの女装と定義する風潮が定着した。
 また、これによりMEIKOの低音を「MEITO」として、MEIKOの男装とする視点が発生している(MEIKO特有の味のある低音、という特徴的な声がまた一興である)。MEIKOとKAITOの低音・高音を逆転させ、MEITO&KAIKOとする作品も発生し、今後が期待される。
 なお、初音ミク・鏡音リン&レンについては、このような現象は(ニコニコ動画の上で、ネタ以外では)発生していない。

3.2 男性の、男性による、男性のための「男の娘」
 エロゲーの業界において、女装少年という存在は昔から細々と存在していたが、おとボクで一挙に注目され、はぴねす!で急速に発展・定着した。前述した「保守的な先入観」さえ取り払ってしまえば、ヒロイン至上主義であり徹底的な萌えを至上命題とするエロゲーに男性キャラクターを採用することが容易となり、描くキャラクターの幅が広がることは言うまでもない。
 そして、先入観はすでに取り払われた。ここでは、「おとボク」後の例をいくつかあげてみたいと思う。

3.2.1 恋する乙女と守護の楯 ――山田妙子
 まず紹介するのは、AXLより発売されたゲーム「恋する乙女と守護の楯」である。本作品は、おとボクの初期コンセプトであった女装&女子校潜入ラブコメディとしての性格を強め、またマリみて色を消すことで、より男性向けに近い作品となっている。
 主人公「如月修史」は、女学園に通う要人の娘二人を、それと知られず可能な限り近い位置にて警護するため、女学生「山田妙子」に扮し、女学園に通うこととなる。
 本作品に於いては、主人公は女装をし、女性として振るまいながら、男性としての知覚と思考を保ち、警護の仕事をこなす必要がある。とくに終盤では、一瞬でも気を抜いた瞬間にヒロインが暗殺組織に殺されるため、主人公に感情移入すると、平和なパートでさえ、危険のにおいを探す胃の痛みを感じつづけることとなる。
 ただし、第三者視点で平和なパートを眺めると、主人公がいかに可愛らしい容姿をしているか、また、それにより、ヒロインたちにどれだけ愛されているか、という事実を見るのはたやすい。
 この事実はソフトウェア制作側も了解済みなのか、2008年2月に発売されたCDドラマでは、如月修史のCVに釘宮理恵をあてている。彼女の役回りが「ツンデレロリ」の代名詞であることは周知の事実と思う(有名作品に、「灼眼のシャナ」のシャナ、「ゼロの使い魔」のルイズ、「ハヤテのごとく!」のナギなど)が、修史であり妙子であるという難しい演技を「鋼の錬金術師」のアルに似た声質で見事に演じ切っている。

3.2.2 はぴねす! ――渡良瀬準
 続いて紹介するのは渡良瀬準。彼の存在は女装少年の地位を一挙に高め、女装という概念をサブカルチャーとして確立するに至った。
 うぃんどみるから発売されたこのゲームにて、渡良瀬準は、主人公の親友として登場する。にもかかわらず、4人のヒロインと2人の隠しヒロイン、2人のサブヒロインと比較して、圧倒的な人気を見せつけることとなった。
 簡単な証拠としては、mixiコミュニティへの参加人数(本稿の数字は2007年12月25日現在)を見ていただくと早い。作品のコミュニティとして、はぴねす(でらっくす含)1194人、はぴねす!りらっくす641人、アニメはぴねす318人。メインヒロインおよび隠しヒロインの人気は、春姫597人、杏璃837人、小雪281人、すもも358人、伊吹391人、沙耶135人となっている。
 これに対して、準コミュニティの参加人数は2075人と、群を抜いて多いと言わざるを得ない。
 また、これと呼応するかのように、2006年4月に行われたWindmill Festivalにおいては、15サークルすべてがはぴねす!を、うち12サークルが準を取り扱っている。この中で、準を主人公orヒロイン格とする作品を発表したサークルは7サークルに上る。
 これにとどまらず、準オンリーイベントが2007年3月、9月の2回開催され、ともに盛況に終わっている。メインヒロインですらないキャラでこれほどの待遇を受けたのは、With Youの伊藤乃絵美以来ではないだろうか(見落としがあったらごめんなさい)。

 参考まで、通常エロゲーにおいては、主人公を中心とする男性群は、主人公・ネタキャラ・ライバル、の三名であることが主である。もちろん、ゲームによってライバルやネタキャラの増減はあるものの、モブ(群衆)に属さない男性キャラクターはこのパターンに帰着されることが多い。通常のストーリーにおける「いじめられキャラ」は、エロゲーの文脈においてはたいてい主人公またはヒロインに属する。
 すなわち、渡良瀬準は、主人公のライバルキャラとしての文脈に属するが、この文脈からの行動が、オカマキャラ特有の強力な個性を発揮する。この個性とは、「主人公いじり」と「的確なアドバイス」である。
 ただし、ライバルキャラとして持ち合わせていたこの特性が、準のオカマキャラとしての特性と組み合わさることで、準には「お姉ちゃんキャラ」としての性格、すなわちヒロインとしての性質を持ってしまった。これは、はぴねす!体験版を公開した時点でうぃんどみるが認めた失策であり、これに対する回答は、ファンディスクにて準を正ヒロインとして昇格させるほかにはなかった。「はぴねす! りらっくす」に収録されている作品の一つ「ぱちねす!」において、主人公の小日向雄真は、すべてのヒロインに囲まれてうはうはな世界を経験したにも関わらず、ヒロインの誰一人も選ばずに準を選んだ。

3.3 反論:先進的な概念は共有されない ――はなマルッ!、PiaキャロG.O.
 さて、上記ばかり見ていると、可愛い女装少年について肯定的な見解ばかりととらえられるが、もちろんそんなことはない。当然、反発されるキャラクターも存在する。
 その反発が特に顕著であったのは、「はなマルッ!」のヒロイン桐嶋菫、および、「Piaキャロットへようこそ!!G.O. 〜グランド・オープン〜」のヒロイン姫川かずみの2名である。ともに性同一性障害を患う男性であるが、本人シナリオに入らない限り分からないため、プレイヤーの間では「気持ち悪い」「ダマされた」といった声が飛び交うこととなった。
 この2作品共通の問題として、作品紹介、あるいはゲーム序盤の共通部分にて、性同一性障害であることが示されないことが理由として言われている(該当作品をプレイしたことがありませんので、私が作品の評価を行うことは不可能です)。この理屈を適用すると、前項までに示した女装キャラはすべて、作品の序盤以前に男性であることが判明していることが分かる。
 ただし、性同一性障害は本人の心と体に関わる問題であり、序盤の共通ルートで明示するには重い問題である可能性も否定できない。この意味では、性同一性障害という深刻な問題を取り扱うほどには、エロゲー――あるいは、物語――というプラットフォームは進化していないのかもしれない。

3.4 まとめにかえて:バーチャライぜーション ―― 例題から見えるもの
 本章で示した女装少年が受け入れられる/受け入れられない、の議論の前に、一点考えてみるべきことがある。もし、彼らが普通の女の子で、性格も境遇も作品内の立場も同じだった場合に、果たしてどうなるか。
 もちろん、ありえない仮定にすぎるが、思考実験として考えてみるべき要素ではある。この思考実験における注意は、性格・境遇・立場を一切変更しない点にある。たとえば、姫川かずみを女性とした場合、単純な設定変更では性同一性障害による悩みが存在しなくなる、すなわち境遇や立場が大きく変わってしまう。この点を考慮しながら、性格・境遇・立場を可能な限り変更しないためのロジックを別に持ってくる必要がある(たとえば、逆の意味での性同一性障害で悩んでいる、など)。
 私が出した結論としては、瑞穂と妙子に恋愛要素およびそれに伴う“力”が消えるだけで、その他特に変わるところはないように思う。菫、かずみの両名についても、「メンヘル女うざい」(注:メンヘルとはメンタルヘルスの略で、心の病を来している人間を指す。この利用例の場合、それを転じて非常識な行動・言動を行う人間への蔑称として用いる)との感想を抱くに過ぎないと思われる――こちらは、ゲームをプレイしていないが故の推測に過ぎないが。

 この、やたらと難しい調整を必要とする思考実験で、要するに何が言いたいのか。
 この思考実験により、二次元のキャラクターにおける「実際の」性別を考慮してやる意味は、実はほとんどなく、重要なのは、「可愛い」「美しい」など、個人の持つ性質である、という点が明確化されるためである。もちろん、これらの性質を兼ね備える者の多くは女性ではあるものの、すべての女性が持つ性質ではなく、また一部の男性が持つ性質でもある。
 顔も性格もスタイルも最悪の女性と、少女と見まごうばかりの美しさと器量の良さを兼ね備える美少年。夢を見るために仮想化された世界の中で、わざわざ前者を選んでやる理由はどこにもない(もちろん、前者を選ぶ人がいても良い。好みは十人十色なのだ)。

難題:おとボク瑞穂きゅんコス&はぴねす!準にゃんコスは女装なのか?

2006年12月31日 日曜日

じょそう【女装】(名)スル男が女の衣服を身に着け、化粧をして、女のように見せること。⇔男装
三省堂提供「大辞林 第二版」より

コスプレを行うとき、女性の女装・女性の男装・男性の男装については、通常のコスプレとして扱われるが、男性の女装についてはこれらと比較して規定が厳しい場合が多い。

そのとき、問題になるのは、タイトルのような状況。類似問題としては、男性によるブリジットコス、八雲はまじコスなどが挙げられる。(河野亨コスの場合、制服か「姫」衣装かでまた難しい)

常識的に考えれば、女性の格好をしているのだから女装として扱う、というのが結論になるであろう。しかし、キャラクターコスプレというものの概念からすれば、この状況は間違いなく男性を模しているのだ。

コスプレイヤーだからというわけではないが、この状況をレイヤー構造として考えてみる。

レイヤー1:プレイヤーの性別
レイヤー2:キャラクターの実際の性別
レイヤー3:キャラクターの服装の性別

このとき、通常の仮装やオリジナルコスプレであれば、レイヤー1とレイヤー3のみが存在し、話は簡単である。性別の転換がここで存在するか否かが女装か否かを決定する。
女装キャラへのキャラクターコスプレの場合、レイヤー1・2間では性別の転換が起こらず、レイヤー2・3間で性別の転換が起こる。
このとき、レイヤー2とレイヤー3のどちらを現実世界へのインタフェースとして用いるかで、女装であるか否かが決まる。
ここまでの一般論では、女装である、女装でない、このどちらの理屈もそれなりに説得力を持つ。

違いは何か。それは、問題はキャラクターへの認知度。レイヤー2が認識されるためには、キャラクターへの認知が必須であり、それゆえ一般相手にはレイヤー2の主張は難しい。
しかし、キャラコスはこのレイヤー2が存在することが要なのだから、このレイヤー2を無視するわけには行かず、むしろ強調して然るべきと言える。

レイヤー2の存在を是とするか非とするか。女装かどうかの議論が宗教論争に根ざしていることが証明できたところで、このエントリーを終了する。要するに、心の持ちようなのだ。

……って、「心の持ちよう」でルールが書き変わるのはまずくね?

大規模開発の弱点 ――アニメ 乙女はお姉さまに恋してる と アニメ はぴねす! を比較して

2006年12月24日 日曜日

3ヶ月間、見続けてきました。
以下、内容がばれると嫌なので、「点数と、それをもとにした考察のみ」で行きます。

<例題1>
第1話 90点 第2話 100点 第3話 70点
第1話+第2話+第3話 20点

<例題2>
第6話前半 70点 第6話後半 90点
第6話通じて 0点

<例題3>
第11話 80点 第12話前半 90点 第12話後半 100点
第11〜12話 30点

全体を通して、ずっとこんな感じ。あるシーンを切り取ると原作を遵守しているように見えてとても素敵なのに、通してみるとぐだぐだで原作の魅力が半減以下となっている。

ちなみに、はぴねす! はこの逆パターンで、シーンとか細部の設定は原作とかなり変えてきていたり、奇妙なオリジナルシナリオを入れてみたり、作画崩壊もところどころでみられたりするものの、全体を通してみると、はぴねす!らしさが伝わってくる。

さて、答えていただけるとも思っていないアンケートを書いて、記事を終わることにしよう。
「乙女はお姉さまに恋してる」と「はぴねす!」、あなたはどちらをより高く評価しますか?

原作を越えたアニメ、原作を越えられなかったアニメ

2006年12月9日 土曜日

違いは、原作への理解度。

はぴねす! 第10話拝見しました。
ほろりときました。何この神アニメ。

原作をきっちり理解して、それを120%生かすストーリーの再構成を行っていたことで、原作をより深く表現することに成功している。

音羽が鈴莉に泣きついたり、式守の秘宝事件でゆずはが鈴莉を「すーちゃん」と呼んでいたりと、原作をきっちりと理解していないとできないファンサービスも含めて、今回の話ははぴねす!ファン必見である。

雄真の魔法暴走とかのオリジナルイベントも、キャラを完全に生かし切るための仕掛けであり、それがきっちり成功している点からも原作への理解度が高いことがわかる。

原作より原作に忠実なアニメ。
この作品に出会えたことに、最大級の感謝を。

はぴねす!CD発売記念

2006年10月30日 月曜日

マジカル★ジェネレーション
マジカル★ジェネレーション
榊原ゆい, 志倉千代丸, 上野浩司, TARAWO

石丸ソフト1にて開催された、はぴねす!CD発売記念のライブに出てきました。OPとEDだけの、2曲のミニライブでしたが、これでも初ライブ。

<経緯>
 10/25に、おとボクのED「Again」を同店舗で購入。そのついでにはぴねす!のED「マジカル★ジェネレーション」を購入すると、OPも一緒に勧められたので買ってみたら、先着順でイベントに参加が決定。

<当日>
 14:00〜抽選、62番の好位置をドロー。14:40再集合とのことで、まったりと待ちながら薄荷飴をコンビニで購入。
 集合後、リハーサル終了待ち。歌声がいい感じに聞こえてくる。
 しばらくして入場、椅子に座ることが出来た。100番台以降の方々に椅子は用意されなかったようで、落ち着いて聞ける位置であることに感謝する。
 ライブ開始。5pbの中の人が司会をして、村田あゆみさんと榊原ゆいさんのトークショー。榊原ゆいさんの話がすごくうまく、場を笑わせる。

ex)
 村田「先生(榊原ゆいさん)が、手取り足取り教えてくれるんですよ」
 榊原「手取り足取りって、なんかいやらしい響きじゃない?」
 
 そんなこんなで場がすっかり和んだところで、ライブスタート。最初は、村田あゆみさんの「は・ぴ・ね・す!」。
 いい感じに気分よく聞くことができて、プロの歌はひと味違うと思った。テレビとかで聞くより、段違いに可愛かった。

 次は榊原ゆいさんの「マジカル★ジェネレーション」。
 曲調の違いもだいぶあると考えられるが、とにかくサビの部分で圧倒された。これがライブか、これが榊原ゆいかと、圧倒的な実力を見せつけられた。

 これで終わりかと思ったところ、なんと「握手会」をやるとのこと。握手するだけかと思っていたら、みんな榊原さんや村田さんに一声かけてる。やばいと思いながらいろいろ話すことを考えて、なんかしゃべった。よく覚えていないが、握手をしながら、おふたりともおきれいだったなぁ、と月並みなことを考えながら(逆に、それくらいしか考えられなかった)、流れ解散的に会場をあとにした。

<その後>
 なんとなくミントに足を向けてみたら、タイチョさんとK−5Pがいらっしゃる。というわけで、ライブの感想を言いながら宴にふける。私の咲夜デッキが、魔理沙の動きしかしてくれない。スターダストレヴァリエ・アースライトレイを中心に、「呪力5/迎撃3のアステロイドベルト」とか「防壁も貫通もないファイナルスパーク」とかを並べて、事故の激しい紫1幽々子3とか、レミリア3咲夜1とかといい感じに勝負していた。レミリア3霊夢1ともやったが、これは幻想郷と吸血つき二重結界が怖いくらい。
 ミント閉店後、うどん食ってタイチョさんとDDR。タイチョさんは定期的にプレイしているようで、私とは目指すレベルが全く違っていた。

 今日は、いい一日だった。南越谷に引き取りに行けなかった各種予約品目は、明日にでも取りに行く予定。

今日9/20は

2006年9月20日 水曜日

準にゃん誕生日です。

というわけで、聖誕祭準備とか何も出来なかったわけですが……叫びますっ!

準にゃんお誕生日おめでとぉぉぉぉぉーー!!!!!!!!!!

海を渡るはぴねす!

2006年8月26日 土曜日

This entry says I found Chinese language (Taiwan letter) blog entry about Jun Watarase and tried to transrate into Japanese.

準にゃんスレより情報収集。
おそらく台湾の方と思われるblog天空的中央さまに、準にゃんイラストが描かれている記事がある
大学でちょっと習っただけの中国語能力だが、ちょっと訳してみよう。

> 渡良?準!ˊ口ˋ
> 不會打麻將,腦羞之下就把遊戲刪了(死)
渡良瀬準にゃん(;´Д`)
麻雀はまだ打ってないけど、ゲームをクリアして、脳味噌の中まで恥ずかしくなった(死

> 其實是被一張準抱著雄真同人圖給萌到了,準真是可愛啊。ˊ口ˋ/
> 宮小路瑞穗太賢淑了萌不到我(毆)
さて、準×雄真の同人イラスト一枚に萌えたたのですが、準にゃんはめちゃめちゃかわいいですね(;´Д`)ノ
宮小路瑞穂きゅんですらここまで萌えませんでしたよ(殴

> 看了相關的遊戲討論後對這個角色好感倍?,準的想法就是標準的 『你的幸福就是我的幸福。』 ,一整個就是…Q口Q
> 雖然很狗血但是很能打動我的淚腺(被打)
ゲームの関連サイトをでの議論を見たあと、さらに準にゃんが好きになっていました、準にゃんのポリシー「あなたが幸せなら、私も幸せ」、いいですね(ToT)。
とても笑えました(*)が、それでもすごく泣ける作品でした
(*「狗血」の適切な訳語が見つかりませんでしたのでつながりだけ考えててきとーに訳 orz)

> 準會紅應該是因為他是女裝少年的關係比較多吧?
> 不過真的變女生就不好玩了(誤)
準にゃんが女の子のような原因として、準にゃんに女装少年のようなシチュエーションが比較的多いことはあげられると思われます。
でも、本当に女子生徒に変わってしまうシチュエーションはおもしろくありません(爆)

> 唯一不滿的就是幼兒體型,我寧願準是少年的體格也不要幼兒體型啊,幼兒體型一點都不性感(碎碎念)
ただ一つ不満があるとするならば、準にゃんは幼児体型であることです。私は準にゃんが幼児体型などではなく、少年的な体型ですらないことを望んでいます、幼児体型はちっともセクシーではありません(言っていることがばらばらだ……

> 聽說動畫版十月會放送,希望準的戲份可以多啊…Q3Q/
> 可是看到作畫我退縮了喔喔喔(奔)
アニメ版が10月から放映されますが、準にゃんの出番が多いと良いですね。(-3-)ノシ
なにせ、私に絵を描かせたキャラですから(脱兎

以上。つたない私の中国語能力でさえも、準にゃんへの愛が伝わってくるエントリーでした。
習って以来忘れていた中国語文法Excite翻訳+準にゃんへの愛(重要)で、何とか訳すことが出来てほっとしています(誤訳は多いでしょうが)。

世界はいろいろな問題や対立を抱えて大変ですが、準にゃん萌えはそれを飛び越えて世界を一つにします。
そう、準にゃんのポリシー「Love and Peace!」は世界の共通語なのです!

夏の聖戦おつかれさまでした

2006年8月14日 月曜日

一般参加者で三日間、サークル・スタッフ参加者で数週間〜数ヶ月にわたる戦い、夏のコミックマーケット参加おつかれさまでした。
私もなかなかコミケらしい戦いをさせていただきまして、今は心地よい疲れの中、充実感を振り返っている最中でございます。

時系列。

・一日目
 午前中は自宅でひたすら製本作業。午後に逆三角形へ向かい、べるさんに依頼した表紙カバーを取得。
 その後万葉夢堂さまに突入するものの、時間が遅く売り切れ。
 Q-turnさんを自宅に連れ込んで製本作業続き。ここで50部くらい完成する。

・二日目
 サークルチケットを使って頼まれものを並びに、N-010さままで行く。少し出遅れたところで、初手2限。頼まれものは4部。1周したら1限に変更、Q-turnさんに助けを求める。3部めはとれたものの、4部めは叶わず。心の中の目標が、自分含めた5部だったのでちょっと残念。
 その後、マリみてサークルを軽くまわってすぐ帰宅。
 翌日のサークル準備を整えてから、蓉子さま同盟と飲み。べるさんは完売とのこと。おめでとうございます。

 買い戦績:6冊

・三日目
 寝坊する(汗
 しかし、雄真@はぴねすっぽい服装での売り子、という最低ラインは堅持する。時間もかからないし。
 行きの電車の中、売り子のひれさんに携帯で連絡を取りつつ、買いの部数確認。
 サークル入場・設営の後、おとボクチャットのメンバー(はくほーさん@むげんれんさ、家名さん@恵女OGいつきさん@Till)と新刊交換。
 続いて、はぴねす!ブロック(S-01a/b〜S-04a/b)の7サークルに対しても新刊交換を申し出る。快く引き受けていただき、ブロックの新刊が完全に揃う(ぉぃ。
 最終確認の後、初手でsazさまの本をとる。その後、おとボクブロックを制覇し、一般入場の様子を見て手早く準にゃん本を回収。西に行き、準にゃんコピー本を入手の後、web関連やSolarisなどの本を購入し、スペースに戻る(戻る途中、女装少年関連のブロックに偶然足を踏み入れたお陰で一冊の準にゃんイラスト本に巡り会えたのは奇跡と言おう)。
 で、ひれさんから売り子を引き継ぎ、両隣の方と雑談しながら、スペースでまったりする。本当にまったりになってくる13:30以降に、お隣のマナノミズさまにスケブを書いていただく。口紅をお色直しする準にゃん。言い表しきれないほど可愛い。本当にありがとうございました。宝物にします。
 終了後、頼まれものを受け取った後、いつものようにKanonメンバーとねぎしで食事をして帰宅する。

 買い戦績:42冊
 売り戦績
  新刊 25部(別に10部を新刊交換)
  既刊 17部

 Windmill Festival同様、雄真っぽい格好は誰にも気づかれなかったようだった。まあ地味だし、エロゲ主人公の服装なんて誰も見ないしな(瑞穂きゅん等例外あり)。

 熱いコミケもおわり、次はボクみて3。これが終わったらしばらく参加予定を空白にします(冬コミ、十ロザはサークル参加いたしません)。ちょっといろいろとやりたいことが多いので……。

告知まとめ

2006年8月11日 金曜日

夏コミ関係、だいたい作業見積もりがとれましたので告知。
(本音:準にゃんスレに少し間違った情報がのっていたのでびびった)

<新刊>
ぱちねす!てんしょん
スタイル:A6小説サイズ120ページ 18禁
ジャンル:はぴねす!りらっくす
タイプ:ほぼ全キャラ、ギャグ中心オムニバス
頒価:¥500

<既刊>
ろんりねす!――It’s still so far from happiness!――
スタイル:A6小説サイズ60ページ 一般向け
ジャンル:はぴねす!
タイプ:準、ダークシリアス
頒価:¥300

タイプについては分類がいい加減なので、読んでいて間違っていると思ったらごめんなさい。
今回、マリみて・おとボク関連の本はいっさい持っていきません。
大きい理由)プリンタの性能問題 ←今ならPhotosmart 3210某両面印刷プリンタイラネ、まで言えます orz
小さい理由)会計ミス防止のため ←素人さんに売り子のお手伝いをしていただくため
事情があえば「40 minutes」や「少年はお母さまに恋してる」あたりも持っていきたかったんですけどね……。