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こんな夢を見た

2010年4月17日 土曜日

光差す、何もない明るい部屋で。
祖父と、父と、俺の3人で。
祖父が、笑いながら酒を飲んでいた。
赤いピューレ状の「酒の素」をお湯で割って、レモン果汁を足して飲むという、現実にはあり得ない組み合わせ。
「健康に悪いよ」と心配する俺に、「大丈夫、これは健康に良いお酒だから」と、笑いながら飲み続ける祖父。
数十年前と同じようにレモンを搾り、ウィスキーの代わりに謎の酒を割り、祖父にお酌をする。
そして、俺が祖父に近況報告をしようとしたところで、夢は唐突に終わった。

さて、ご存知の通り、ここ数ヶ月、blogをまるで更新していない。
では、何をやっていたのか?

大きく言えば以下の2点。
・3月初頭の引っ越し関連で混乱していた。
・2月中旬に、父方の祖父を亡くした。

細かく言えばもう少し。
・実家との往復生活になったため、そもそも更新の時間がとりづらくなった(とれないと言っているわけではない)
・ついったーで遊んでいた。
・積ん読を数冊だけ解消した。

詳細は以下。
【引っ越し/往復生活】
mixiやってる人は分かってくれているだろうが、いつ、どこに決まるか分からない状態だった。
2月は引っ越し準備だけしておいて、会社指令がいつ降りるか分からない状態で不安な夜を過ごしていた。

3月から4月までは、初めての自炊生活にとまどいながら、少しずつ生活のルーチンを構築するので手一杯な状態が続いていた。
諸事情により、週1くらいのペースで実家に呼び戻される二重拠点生活に対応するというのも、難易度の高いことだった。

そんな生活に、やっと慣れてきたのが現在といったところ。まだまだ改善の余地は大きいだろうが、マイペースでやっていきたい。

【ついったー】
以前からはまっていた、ということは話していたが、はまりかたが加速している。
Wordpressの右ツールバーに、こっそりと「Twitter Tools」を導入していたのは、皆様お気づきだっただろうか。
ついったーへ投稿した「ツイート(つぶやき)」がここに表示されるが、ここばかり更新されていた、ということになる(笑)

ついったーについては、別途語る機会を設けたいと思っている。
うまく使えば、平凡な日常がこれ以上なく楽しくなるツールである、ということは言っておきたい。

【読書】
紹介する価値のあるもの、ないもの、続き物など、いろいろ読んでいたが、良いと思ったものを紹介しておきたい。

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おすすめ度:★★☆☆☆(←買った当時は★4つでよかったが、特定技術の解説書はどうしても……orz)
私がTwitterの世界に興味を持つ一端となったITmediaのブロガー @akihito による訳書。
ビジネスにおけるTwitterの使い方を、まるで手順書+解説書のようにしっかりと書いた本。
買った当時は最新の内容、読んだ当時は若干古め、紹介した今はほぼ時代遅れ……世の中ままならない。

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おすすめ度:★★★★★★(殿堂入り)
P.ドラッカーの入門書として、これ以上最適なものは世の中に存在しないとのこと。
かすかな百合風味のする、とても熱い青春小説。
すべての組織人と、すべての小説好きと、すべての野球好きは、本書を読むべき。

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おすすめ度:★★☆☆☆
アフタヌーン新書を見くびってました、という謝罪の意味も込めて。
ジオン軍が有利な技術力を持っていたにもかかわらず連邦軍に勝てなかった理由を、モビルスーツ関連技術中心に考えた本。
1stガンダムはよく解らないが、それでも技術者として考える部分は多い。

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おすすめ度:★★★★★
将棋の世界から、決断することの重要性と、決断するための心構えを説いた本。
書ききれないほどの重要な示唆があるが、啓蒙書として本書を読んでいただきたいと思う。

【祖父の逝去】
2010年3月26日、逝去。同4月2日、告別式だった。
親類を亡くすのは一昨年に続いてのこと。
詳細は書かない。細かい様子を書く理由もないし、書き記すだけの知識と気力もない。
ただ、あまりに近しい人を亡くすと、覚悟も予定も全部吹き飛ばして、ショックで心も体も動けなくなるんだ、ということを改めて実感した次第。

新幹線のおかげで、なんとか死に目に会うことはできた。
葬儀の準備は、できる範囲で最初から全部携わった。
今もてる力のすべてを持って、送りたかった。

けれど、今朝の夢で、思い知ってしまった。
ちゃんと送り切れてなかったんだな、と。

納骨式を5月に執り行う計画は既に決まっている。
それまでには、祖父を笑顔で送れるようになっているだろうか?

障害という名の天恵を活かすために

2010年2月11日 木曜日

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REXと日経トレンディの今月号を後回しにしてこの本を読んでる時点で、俺がADHDたる状況証拠はまた一つ、積み上がっている。……診察受けたわけじゃないので、あくまで状況証拠だけど。

<概要>
 ミスが多かったり空気が読めなかったりする人の中には、注意欠陥多動性障害(ADHD; Attention Deficit Hyperactivity Disorder)やアスペルガー症候群などの発達障害を患っている人がかなり多い。
 発達障害は本来「発達アンバランス症候群」と呼ぶべきものであり、その特徴として、「当たり前のことがまるでできない」が「ある特定のことについてはものすごい才能を発揮する」という性質を抱える。
 子供の頃優秀だったが大人になってダメになる人には発達障害であった可能性が高い。これは、「当たり前のこと」の閾値が子供と大人でまるで異なるため、大人になってから「個人の性格の問題として」発達障害がはじめて発見されるためである。ただし、発達障害は子供の頃にすでに兆候が見えており、大人になってから新たに発達障害となることはない。
 発達障害を持つ人の割合は1割ほどとされているが、療養しているケースはごくまれであり、また診断可能な医者もほとんどいない。
 発達障害と分かった場合でも悲観することはなく、生活を工夫すれば大きな問題にはならない。とくに重要なのは職業の選択であり、専門知識・技能を活かせる職に就くべきである。逆に、対人スキルや管理能力が必要な職、ミスが許されない職に就くのはまずい結果を招くことになる。

<感想>
 ADHDについて、これは俺か? と思わず疑いたくなるような内容であった。ADHDの特徴を書籍(P53 表1)から引き、自分にあてはめてみる。

(基本的症状)
・いつも落ち着きがなくソワソワしている →まさにそのとおり。落ち着こうとする行為そのものが落ち着かないので、iPhoneみたいな「落ち着かなくても落ち着いて見える」ツールは必須。
・気が散りやすく、一つのことに集中できない →基本事項。集中できないのはあきらめて、集中力が戻ってきたらいつでも作業できるように、ToDoリストなどの環境を整えておくことを心がけている。
・後先考えずに思いつきでパッと行動してしまう →よくやる。予定は未定にして決定にあらず。
・やるべきことを先延ばしにし、仕事がどんどんたまっていく →悩みのひとつ。ToDoリストに記録し、片付けやすいようにしておく対策が重要。
・気分屋で情緒不安定・セルフコントロールの欠如 →長らく悩んでいるが、結構どうしようもない。常に「一旦考えろ」と自分を落ち着かせているが、考える過程がだだもれになってしまうので結局悪い影響になる。
・ひどい心配性で強い不安感に囚われやすい →何かあるとすぐこうなる。こうなると仕事も趣味も手に付かない。
・対人関係で必要な基本スキルが未熟で孤立しやすい →もはや前提。正直、周りのフォローを期待して行動している。
・マイナス思考で物事を否定的、悲観的、被害的にとらえる →これも前提。その状況下で、「自分は何ができる?」と思考するとアイディアがいくらでもわき出てくるのは良い感じ。
・飽きっぽくて一つのことが長続きしない →やりかけで投げてるものなどいくらでもある。ダイエットなんか典型。
(その他の随伴症状)
・記憶障害によって段取りよく作業ができない →ToDoリストを用意して、「一つ一つ、じっくり片付けるんだ……っ!」とやるのが必須だが、ToDoリストに載せるまでもない軽いタスクが複数来ると詰む。
・金銭・時間・書類などを管理することができない →金銭と時間の管理は半ば諦めている。書類はしっかり管理する、管理可能な数に抑える意味で。
・集中力に欠け信号や標識などを見落としがち →助手席に優秀なドライバーは必須です。
・睡眠不足から交通事故などを起こしやすい →交通事故ではないが、睡眠不足は天敵。1日7時間キープできない日は作業効率最悪。
・爪かみ、チック、抜毛、貧乏ゆすりなど →おかげさまで、爪はいつも短く保たれてます(爆)。貧乏ゆすりは……何度注意されても治らない。うーん……
・酒、タバコ、薬物、ギャンブルなどに溺れやすい →趣味と甘味に溺れてます。誰か、やせる方法を教えてくれ……
・過集中とこだわり傾向が見られる →生活の必需品です。

んで、数多くの対策が上げられている中で、私がすでに実践していたのは以下。
・一覧表を作って順序立てて考える/便利なものは何でも活用する; 上記の通り、ToDoリストとスケジューラは最早手放せない。Google&iPhoneの連携サイコー。
・自分だけの時間をつくる; 婚活やめた理由を見つめ直すと、ほぼこれといっていい。
・自分に合った仕事を選ぶ; 大企業の内部PGは天職。出世したくないでござる、出世したくないでござる……
・認知行動療法(ただし我流); 論理の導出に思考を委ねることで、多面的なものの見方ができるようになったのはかなり良い感じ。特に、自分の「困ったところ」をポジティブに見て、役立てることができるのは収穫。正直、下手な宗教にはまるより認知行動療法を身につけたほうがよっぽど救われる。
あとは食事や嗜好品、睡眠などを改善したいが、飽きっぽく我慢の効かない性格が邪魔をしているのが悩みどころ。

いずれにせよ、常識を通用できない自分の性質を悲観していても始まらない。
長所は伸ばし、短所は活かす。きっと、この心意気が大事だ。

宇宙の形を決める数学と、ロボットアームを動かす数学は同じ。

2010年1月3日 日曜日

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おすすめ度:★★★★☆

読んでて、懐かしかった。
そして、10年前にこの本を読んでいたら、人生変わってたんだろうなと思って愕然とした。

内容としては、
・ポワンカレによる位相幾何学の定義とポワンカレ予想の説明
・証明に関わった数学者たちの経緯
・ペレリマンによる証明
からなるが、制御理論を学んだ身としては、証明に必要な概念がいちいち懐かしかった。これは、私が「微分幾何学のテクニックとして」位相幾何学を学んでいたためである。
大学の数学チックな物理学&工学についていけなくなりそうな人に、概念を一度「わかりやすく整頓する」ための書としておすすめしたい。無意味に見えていた数式操作が、具体的なイメージを持ってもう一度手元にやってくるはずだ。

以上、感想終わり。以下、何が懐かしかったのかなぁ、というところで。

微分幾何学/位相幾何学を私が使ったのは、「ノンホロノミック」と呼ばれる制御対象の解析と制御を研究していた。
具体的には自動車の自動制御(の基礎理論)だったんだが、内容がまさに微分幾何学の応用で、必死に数学に食らいつこうとしていたが敵は強大すぎた。
自分が書いた修論を今読んでも、半分も理解できない気がする。

んで、修論発表の場を要約したのが以下。
俺「……というわけで、自動車の縦列駐車が面倒なことが数学的に証明されました」
先生「質問ございますか?」
質問した先生「どれくらい面倒なんですか?」
俺「……(凍り付く)」
先生「そこまで考えてないと思います(苦笑)」

だいたいこんな感じ。
【上記卒論発表から数年経過した後に】気がつきましたが、めんどくさいって数学的に証明できるんですね。

世界を結ぶ架け橋

2009年11月8日 日曜日

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おすすめ度:★★★★★★

フェルマーの最終定理を巡る、数学史の話。数学の話は理解できなくてもおk。
主役は、フェルマーの最終定理を証明したA・ワイルズ氏。だが、ワイルズ氏の証明の基礎になった予想や定理にまつわる数学者達の物語も相応に壮絶たるものがある。

詳しいあらすじは……やる夫を見てください。やる夫の原典となってる本でもあるらしい。

本を読み進めれば分かるが、フェルマーの最終定理の証明がただのパズルかと思ったら大違いで、暗号理論を中心に実学への影響も大きい問題への、証明が一つなされた、ということになる。

何十人もの天才数学者が発見してきた定理や証明方法、そのどれ一つが欠けても証明にたどり着けない。
数学という「論理しか通用しない世界」の厳しさと熱さを、改めて……いや、かつて無いほど強く感じた次第。

私がこの数学者達と同じことやろうとしたら……たぶん狂って死ぬ。
それだけとんでもない人間達がこの世界に降り立った幸運を、人類は神に感謝せねばならないだろう。

安定を顧みない狂気だけが、将来の安定を保障する。

2009年11月2日 月曜日

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おすすめ度:★★★★☆

内容は、何の変哲もないネットビジネス論。
だが、わかりやすく、面白い。
そして、「何の変哲もない」が徹底されているが故に、切り口が何よりも鋭い。

簡潔にして平易な言葉と、わかりやすい概念を用いた簡単な説明だけで、ネットビジネスの現実と未来を完全に見通してしまう。

一番根っことなる、本当にあたりまえの前提から推論しただけで、世の中の常識を全部きれいに斬ってしまうこの切り口、そして、このような推論をきちんと、わかりやすく示す能力。
これらは、天性の才能と、それを裏付ける努力でしかなせないもの。

ライターさんの力を借りているとはいえ、このわかりやすさは、西村博之その人にしかなせない仕事だと思う。ネットビジネスだけではなく、クリエイティブなものに興味のある人は必読の一冊。

ただ、ひろゆきファンブックとするには、少し難しいかもしれないけどw

常識を疑え、自らの幸せを勝ち取るために。

2009年10月26日 月曜日

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おすすめ度:★★★★★

人間が生きる上で必要な「栄養」の知識が、きっちりとした解説とともに書かれている本。
日本人は全員が読むべき。

<超概要>
 低血糖症の症状は鬱病とほぼ同じであり、本当は低血糖症なのに鬱病と判断されてしまうケースが非常に多い。特に現代は、糖質の過剰摂取を原因とする栄養バランスの崩れが多く見られる。
 低血糖症であれば食事療法が非常に有効なため、本書では食事の取り方について説明している。
 まず、タンパク質を多く摂取することが大事。タンパク質は身体をつくるばかりでなく、ダイエットや感情の安定など、健康的な生活への寄与も多大である。
 また、低GI食品を多くとることで、糖質(炭水化物)の過剰摂取を防ぐことができる。とくに、毎日の食事では、野菜→肉→ごはん、の「GIが低い順」に食べることで、血糖値の急激な上昇を防ぐ=おなかが空きにくくなる。
 頭の疲れには、甘いものは確かに有効である。しかし、これは栄養ドリンクのようなものであり、継続した摂取によりタンパク質を取りにくくなるほうが問題。
 むろん、栄養のバランスをきちんと考えて取ることが大切だが、本書では「食事摂取基準」の考え方についても疑問を呈している。

<感想>
 常識的な「精神的なものなのだから、精神をなんとかしよう」という直感から離れて、「精神は脳、すなわち、タンパク質から出来ているのだから、栄養を何とかすれば精神も上向く」という鋭い考察が元となっている。
 個別ケースにおいて大きな成果を上げたことが書かれているが、本書でも断っているとおり、日本においては「反証可能なデータは揃っていない」すなわち別の説が出てきたらひっくり返される可能性は常に残されている程度の「新しい説」である。

 考え方のポイントは、「常識的な考えを疑う」こと、「原点に立ち返って考える」ことの2点。鬱病(に見えるもの)を栄養学で改善したこの視点は、精神という「上っ面の常識」を捨てて、脳の活動という「見えない原点」に立ち返ることが大切。

 もう1点、科学に従事する者として見逃せないのが、「いったん立ち上がるが、しばらく継続したら元に戻る」というデータ。
 この手のデータは、観測時間をしっかりとらないと読み間違うことがグラフの形から明白であるが、それに気づかず「短すぎる期間だけ切り取って考察する」、という過ちをどうしてもやってしまう。
 人体をはじめとする複雑なプロセス制御系の考察が難しいのは、長期的にはバランスを取る力が上手く働くことも、考察を難しくする一因である(むろん、正しい考察の結果システムが平衡する美学を感じ取った瞬間の喜びは、他に代え難いのだが)。

 手元に積んである新書の一冊に、福岡「世界は分けてもわからない」があるが、健康という実例を得たところで、今から読むのが楽しみである。

<検証>
 前回の書評で、「やれるかどうか」が問題とあったので、今回は書評の前に「実際にやってみた」結果を伝える。と言っても、今日1日だけの結果であるが。

実験:
 3食とも、野菜を最初に食べる。ご飯は最後に食べる。

朝食:オニオンサラダ→ミートボール→味噌汁→ごはん(少なめ)→フルーツ入りヨーグルト
昼食:コーンサラダ→鮭のムニエル→十穀米→ミネストローネ
夕食:ほうれん草のおひたし→鮭を焼いたやつ→里芋っぽいやつ→味噌汁(ごはん抜き)
# 3食とも定食なので、数品忘れてるかも。

結果:
 世の中ではスローフードが盛んに叫ばれているが、野菜を最初に食べるだけで自然とゆっくり食べるようになった。
 また、満腹感が長時間継続し、「こんなに早い時間なのに、もうおなかが空いている」ということがなくなった。普段であれば、お茶をがぶ飲みしたり、おやつに海苔のはさみ焼きとかつまんだりする(そしてトイレの回数が増える)のだが、今日はそんなこともなく快適に過ごすことが出来た。
 あと、朝ご飯の量多いです、寮長……

考察:
 身体への影響はともかく、野菜から食べる食べ方は十二分に「あり」と判断。
 本日は量少なめだった昼食や、ご飯抜いた夕食で量が丁度良く、ごはんをつまんだ朝はおなかがふくれてしまったのは食べ過ぎを反省する。
 何も我慢することなく、食べる順番を改善するだけでこれだけの効果があるのだから、ぜひ続けていきたい。

幸せを求めるには、まず潤沢なリソースから。

2009年10月22日 木曜日

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以前買っておいて、忘れたまま積んでいたのを読んでみた。

おすすめ度:★★★★☆

<内容>
将来幸せになりたかったら、10年かけて投資を続けるといい。
まずは、身の回りの無駄を省き、30万円を貯金する。
30万円をミニ株に投資して、投資に慣れながら100万円を溜める。
100万円を溜めたら、長期の投資サービスを使えばお金は雪だるま式に増えていく。
1000万円を超える頃になれば、慎ましく生活するだけでお金を気にせず、充実した生活を送ることが出来る。特に、働かなくても生きていける状態で働くと、仕事の充実っぷりが半端ない。

<感想>
単純に読んだら、単なる株投資の勧めに過ぎない。
だが、この本の真価は、株投資の動機付けにある。

本書は、投資の前段階として、
・節約の方法
を、後段階として
・幸せな仕事
を論じている。

節約の方法は、時間と金の無駄を徹底的に洗い出すことであり、レコーディングダイエットの方法が有効としてある。
筆者にとっては「二次会」と「煙草」であったが、私にとっては「好きな物の周辺にある、考察/話題のためのコンテンツ」がそれにあたる。
エロゲーを積んだ状態でアイマスDSにはまってみた今だからこそ思えるが、多くのコンテンツを必死で消化するよりは、少ないコンテンツをきっちり極める方が趣味として相応しい。

そして、幸せな仕事について、筆者は保険の販売業についているが、生活費に困らなくなったために目標・ノルマなどの枷が外れたことで、真にお客様を考えたサービスを提供できるようになったという。
この「生活費の枷を外す」考え方は、ベーシック・インカムに通じる部分があり、極端なことを言えば、本書は「投資により自分専用のベーシック・インカム環境を作り出す」ことを主眼としている、といえる。

所謂ブラック企業が存在できる理由として、「職を盾に、従業員を縛り付ける」というロジックがある。すなわち「働かざる者食うべからず」の悪用であるが、ベーシック・インカムはその制限を外すことで、幸せな社会を作ろうとする。
であれば、個人が投資により「何もしなくても継続的に稼げる状態」を作り出すことで、自分の幸せな将来を作り出すのは、十分アリと言えよう。

本にもあったが、あとは「やれるかどうか」だけか。
ミニ株を1個買うだけのお金を、まずは貯めてみよう。

バカが時代を作る

2009年9月14日 月曜日

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おすすめ度:★★★★☆

ラノベとかのお気に入りで、人に対して素直に「読め」と思える作品。
設定からキャラからストーリーから、よくもこれだけおいしい作品を作れたものだと感心する。

詳しくは伏せるが、主人公たちみんな頭悪いんですが、それを補って余りあるほど魅力的。
行動がワンパターンではあるものの、環境をうまく変えることで飽きさせない。
一芸に秀でて多芸に通ず強さは見習いたいところ。

また、「バカである」が故に、幕間の問題&回答が面白くて仕方がない。
誤答って確かに性格でるなぁ、と思った次第。
ちなみに、個人的に一番ヒットした答えは「およそ③」。

どうやらアニメになるらしいが、アニメ化で魅力を失いにくい物語構造をしているので、安心して楽しみたいと思っている。

……数学の問題を、さっぱり解けなくなってる自分に絶望しつつ〆。

カウンセラーの聴く力

2009年9月10日 木曜日

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おすすめ度:★☆☆☆☆

婚活関連で、結婚相談所の人に勧められて読んでみた。

読み終わって真っ先に出てきた感想。
意識しただけで出来たら苦労しないよっ!!!

内容としては、よく言われるレベルであるところの、
・相手の言葉を引き出す、うまい質問をしましょう
・相手にうまくしゃべって貰えるような、いい相づちを打ちましょう
とかそんな感じ。

頭では分かってるんだって!!

出来ないだけなんだって!!(T_T

相手の話に質問を返せるだけの常識力がないだけなんだって!! (π_π

また、「質問するだけで話の流れをコントロールする」に飽きたらず、「質問だけで会話の結果や、人の成長さえコントロールする」例まで紹介されていて、なるほど奥が深いと思ったが、これを実践できるようになるには、相当の年月が必要だろうなと思った次第。

というわけで、本書は名書だと確信するが、☆2つを渡せなかったのは、差し迫った問題に対処する手だてを求めた私の心理状態が原因に他ならない。
本書は「後の三巡十年を買う」書としておすすめしたいが、即効性はほぼゼロに等しい点、注意が必要。カウンセリングの訓練手法をそのまま日常会話に取り入れたら気味が悪くて仕方ない。

悩み抜く力

2009年9月7日 月曜日

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おすすめ度:★★★★☆ (計算式:★3+部分対象へおすすめ)

悩んで、悩んで、悩み続け、悩み抜くことの大切さを解く書。
本来おすすめ度★6を置くべきなんだが、下記のとおり、表面の結論と隠れた本質が乖離している難しさから、あえて★4に下げる。表面の結論を鵜呑みにしてもそれはそれで有用かつ人生のすごい糧になる点が読みを難しくしているので、読解力で対象を絞りたい。

筆者が悩み抜いた末に、夏目漱石・ウェーバーの二人の作品に見た結論と、そこにたどり着いた経緯をじっくり説明した本。
文章がわかりやすすぎるゆえ、筆者がたどり着いた、筆者にとっての結論に引っ張られがちになるが、そこは中村 俊輔「察知力」に近い、「体験ものの新書」としての読み方を貫かないと、本書のポイントを読み間違える。
事実、私も途中まで筆者の結論に引っ張られすぎていて、誤った読み方をしていた(ついったー実況を見るとよく解る)。
終章でハーレーの話が出てきて、序章のお母さまの話と結びついて、初めて正しい読み方にたどり着いた次第。

内容としては、筆者が、筆者と夏目漱石とウェーバーの思考の結果である、「人間とは、人間関係に生きる存在である」という哲学へたどり着いた道筋がリアルに、そして論理的に伝わってくる。そして、その哲学があらゆる場面に適用して正しいとする検証結果さえも、わかりやすく明白に示される。
それゆえ、筆者の視点と知識と常識に反発を受ける部分も多々あるが、そこは本質ではなく些末な部分。
真のポイントは、筆者が/漱石が/ウェーバーが、「悩んで悩んで悩み抜いた末に、その結果にたどり着いた」という点。
悩んで、悩んで、悩み抜いたその結果、私と筆者では違う結論にたどり着いている(私のほうは、まだぶれる余地は大いにあるけど)。誰か別の人が同じように悩み抜いたその結果も、また違う結論にたどり着くであろう。

だが、それでいい。
本書を通して、ただ一つ貫かれる原則は、「徹底的に悩み抜く」こと。
結論に正解はない。結論は常に反証されなければならない。だからこそ、悩むことが大切なのだ。

最後に、本書から、私が読み取った本質の部分を以下に抜き出す。中略を置くため文章の意味が変わるが、筆者がたどり着いた「筆者にとっての結論」を、いち読者たる私が「俺的書評として」排除するための操作を施していると思っていただければ幸いである。

時代はすでに中途半端を許さないところまできています。だから、中途半端な深刻さも中途半端な楽観論も廃さなければいけません。
(中略)漱石は一つ、とても大事なことを教えてくれています。
それは、「まじめ」ということです。「まじめ」というのは、「中途半端」の対極にある言葉ではないでしょうか。

(姜、P41~42、2008)

<ついったー実況>
 今回のついったー実況は、理解するためというよりは、上記に書いたように「読んだだけでは理解しきれなかったことを証明するため」に貼る。ただ、本質を理解するためにも、一回実況してみて、あえて罠にはまることは大切かなと思った次第。罠にはまって踏みつぶす?

# 悩む力、1章読了。きーわーどは相互承認。まじめの反対語が中途半端、とは耳に痛い。9:58 AM Sep 5th TweetDeckで
# 悩む力、2章読了。キーワードは金。資本は現代社会でほぼ唯一の、制御可能なリソース。M:tGでいうマナ。なければかてないが、あるだけでもダメ。10:25 AM Sep 5th TweetDeckで

(このへんタコスカップ)

# 悩む力、第3章読了。キーワードは知のあり方。なんつーか、科学って限界をずいぶん低く見積もられてるような気が。身体性認知科学の知見がこの手の識者に知られてるケースって見たことなくて、お前らが科学と技術を語るなと思うのは、、、多分傲りなんだろうなぁorz11:28 PM Sep 5th TweetDeckで
# 悩む力、第4章読了。キーワードは老成。彼のいう孤独の意味が、どうも腑に落ちない。孤独を忌むべきものとするか、前提すなわち求めるべきものとするか。約24時間前 TweetDeckで

(ここまで昨日。ここから今日)

# 悩む力、第5章読了。キーワードは自分教。 「自分の知性だけを信じて、自分自身と徹底抗戦しながら生きていくしかありません」これは名言。約8時間前 webで
# 悩む力、第6章読了。キーワードは他者からの承認。ベーシック・インカム導入で言われる「誰も働かなくなる」問題はありえないと再度確信したが、労働規制はやっぱり必要な気がするw約8時間前 webで
# 悩む力、第7章読了。キーワードは判断基準。 個人の基準が多様化していく現代、価値観をどうやって共有し、変わりゆく価値観の中で人間関係をどうやって維持する?約7時間前 webで
# 悩む力、第8章読了。キーワードは生きる意味。筆者は「死ぬこと=悪いこと」と決めつけているが、死ぬことの意味さえも、「真面目に悩み抜いて、信じるに足る結論を出す」ことが大切なんじゃないかなぁ。約7時間前 webで
# 悩む力、終章読了。キーワード・・ないなw 世代とか役割とかのしっくり来ない議論はどうでもいいが、ハーレーで楽しそうに日本縦断してる筆者のblogは、将来読んでみたいと思う。約7時間前 webで