幻想ノ宴・先手有利解消のための各種提案に対する検討

前回の記事の続き。コメントへのレスである当記事が「だ・である調」の一見偉そうな口振りである点は、論説的な雰囲気作りと思ってご容赦いただきたい。(なお、先の記事で「上位プレイヤー」と書いたのは、「幻想ノ宴」の先手有利を認識しているプレイヤー、程度の意味で書いたつもりでした。誤解を与えたのであれば謝罪いたします)

記事にいただいたコメントから、先手有利の解消を目指したルール提案が、以下のような形で提案されている。

<第1ターンのみをいじる形>

  • 先手の第1ターンにスペルカードを起動できない(幻想うどんげnewsさん他)
  • 先手の第1ターン、呪力を発生しない(mickeyさん)
  • 後手は第1ターンに限り、スペルカードを2枚セットすることが出来る(菅野たくみ、タイチョさん)

<ルール全体をいじる形>

  • 後手の呪力発生タイミングを先手のそれと合わせる(リバースクルスさん)
  • 厳しめの一定条件で割り込みのスペル起動を認める(☆さん)

また、先手有利はゲームバランス上大きな問題にならない、というご意見も複数寄せられている(こうきさん、ホントイさん)。

・先手有利は問題にならない(こうきさん)
 「先手後手の勝率差を緩和する事は必要かもしれないけれど、先手後手の状況を近づける事は必ずしも必要ではない」とあるところ、前者のための必要条件の一つが後者であるといえる。
 いただいたご意見のとおり、先手有利さえなければ完成されたゲームバランスであることは誰しも賛同するところである。このとき、先手有利が公式に問題視されている、という点は注目するべきである。(幻想うどんげnewsさんによるテストルールは、公式の依頼であることが萃まる札、幻想さんにより明記されている
 ルール改正によってゲームバランスが崩れるのは論外だが、さらに品質の高いゲームになる可能性があれば、検討をする価値は十分にある、というのがこのblog記事の立場であることをご理解いただければと思う。

・本提案がゲームバランスの破壊を生むとの懸念(ホントイさん)
 前記事のコメントにおいて、2点のご指摘をいただいている。
 (1)後手有利を新たに引き起こす可能性
 ご指摘いただいたとおりの「後手有利」は実際に存在し、これはターン経過に対して不公平感を生む可能性はある。しかし、このとき、本提案において「先手第nターン」<「後手第nターン」<「先手第(n+1)ターン」の関係が常に成り立つことに注目していただきたい。最初の不等号だけを見たとき、いただいたご意見は全く正しいが、後の不等号まで考え合わせると、決して「後手有利」とは言い切れない部分がある。
 先手の0.5ターンにかろうじて相当する程度の優位を後手に保証することで、ゲームバランス全体を公平に整えることが各種ルール変更提案の目的であることは納得していただけることと思う。もちろん、調整の必要性については議論の余地があり、またルール変更案に対しては慎重な検討を十分に重ねなければならないことは言うまでもない。
 (2)呪力4のスペルカード呼び出しのタイミングに関するゲームデザインの破壊
 本提案におけるゲームデザインに関して、呪力4のスペルカードについてはエンドカードが存在しないこともあり、ご指摘の通り、それほど気を払ってこなかったのは事実である。ただし、呪力5のスペルカードについては霧雨魔理沙「ドラゴンメテオ」、十六夜咲夜「夜霧の幻影殺人鬼」等のエンドカードも多く、これに関しては慎重な議論を行っている。
 以上のように、ゲームデザインの観点からは、プレイヤーとしての私の主観から、呪力5をひとつの区切りとしたための上記提案となった。

・ターン進行を変更する各種提案(リバースクルスさん、☆さん)
 各位のご提案は、それぞれ大変魅力的に映る。特に、リバースクルスさんの「先手後手同時呪力生成」は、序盤〜中盤の有利不利には影響しないものの、終盤の呪力調整には先手後手の差をかなり縮めることが出来る。
 しかしながら、どちらのご提案も、すべてのターンにおけるルール変更のため、先手・後手の差を縮める代わりに、ゲームプレイの感覚が大きく変わる可能性が高い。この手の大きくプレイ感覚を変更する可能性のあるバランス調整は、ゲームバランス変更の最終手段であり、現時点で考えるには強すぎると考える。

・第1ターンのみをいじる案
 拙案と、幻想うどんげnewsさんの案と、mickeyさんの案。この3案は、全く違うようにみえて、実はかなり似通った案である。
 どの案も、先手第1ターンのスペル起動を禁止しているという意味では共通であり、差異は先手の呪力をどれだけ拘束するか、という1点に集中する。
 差異については以下の通り。

 (1)うどんげnewsさんの案:呪力を縛らない
 (2)mickeyさんの案:先手第1ターンの呪力を0とする
 (3)拙案:先手第1ターンの呪力を-1とし、代わりに後手の第1ターンもカードを引けなくする

 私の案を上記解釈することについては、少し補足が必要だと思われるので追記を参照されたい。

 上記3案のどれが優れているかについては、それぞれの案についての十分な議論と、それに基づく幅広いテストプレイが必要となろう。しかしながら、テストプレイに先立って、机上の議論をすすめておくことは、決して悪いことではないだろう。

 というわけで、呪力について比較して考えてみる。

 先手第1ターン→後手第1ターン→先手第2ターン→後手第2ターン→先手第3ターン→後手第3ターン→先手第4ターン→後手第4ターン→先手第5ターン、として呪力を書き出すと、以下のようになる。
 (1):1→1→3→3→6→6→10→10→15
 (2):0→1→2→3→5→6→9→10→14
 (3):1→1→3→4→6→8→10→13→15(実際)
 (3):-1→1→1→3→4→6→8→10→13(仮想)

(1)は現状の呪力と同じであるため、現在の先手有利を改善できないと考えるのは前述の通り。
(2)案について考えたとき、呪力を1縛るというのは、呪力の縛り方としては理想的であるものの、先手の第1ターンでスペルが立たないことがプレイング感覚を変える可能性がある。
(3)案について、呪力が多少後手に有利となるものの、先手の呪力生成に変更がないため、プレイ感覚を変更しないでプレイを行うことが出来る。その代わり、後手は呪力に多少の余裕ができる。

個人的には、やはり自分で見つけた案が気に入っているものの、mickeyさんの案も捨てがたい。
とりあえずは、第1ターンのみのオペレーションをいじる3案をテストプレイして比較してみたいところだ。

なお、mickeyさんにご指摘いただいた「初手・後手のスペル枚数の不足」については、極端なコンセプトを持たない通常のデッキであれば、手札に3枚前後かそれ以上のスペルを持っているはずなので(逆に、極端なコンセプトを持っている場合は後手でスペルを2枚置く必要もない)、ご指摘いただいた状況については、デッキ構築の問題ではなく、単なる事故と解釈するほかはない。

以上、いただいたコメントをもとに、さらに議論を深めてみた。各位には、読みとりの甘さ・批判的返答などの問題についてはご容赦いただきたく思うと同時に、貴重なご意見をお寄せいただいたことに最大級の感謝を申し上げたい。


[追記]
私の「後手が第1ターンにカードを2枚セットできる」が、なぜ上記のように「先手を呪力2マナ縛る」と等価か、という説明を以下に行う。なお、この説明は非常に複雑なので、デッキを二つ用意して、シミュレートしながら読まれることをおすすめする。

まず、「後手が第1ターンにカードを2枚セットできる」を、仮想的に「ゲーム開始前に、後手がカードを1枚セットできる」と読み替える。この「ゲーム開始前」を、仮に「後手第0ターン」とする。すると、後手第0ターン→先手第1ターン→後手第1ターン→先手第2ターン→……、とターンが進行することとなる。しかし、単純な読み替えでは後手の呪力が2だけ多くなってしまい、現実と合わない。

そこで、「後手の呪力を2減らす」「後手第0ターンを仮想的に、先手第1ターンに読み替える。以下同じ」として考えると、本文の(3・仮想)にあるとおり、呪力のカーブが呪力-2した先手と同じカーブになる。(2)と見比べていただければ一目瞭然だろう。

で、実際は先手ではなく後手、後手ではなく先手なので、カードを引けない後手とは実際の先手を表し、呪力2マナを拘束される先手とはカードを2枚置ける後手を指すこととなる。

この議論は時間軸の変換をともなうため、文章での説明が非常に難しい。ご理解いただけない場合は結論だけ納得していただいて、読み飛ばしていただくほうがよろしいかと考える。

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